Bike of the Month -March-
Bonneville Chopper Custom 1965-?
 珍車シリーズで行くと決めた今年の第三弾は、GAOさんの個展開催記念(3/2まで!)ということもあり、御許可を頂いて、GAOさんがアメリカはアリゾナ州で出会ったトラ・チョッパーのイラストです。

 チョッパーは1960年代以降、アメリカ中西部で流行したカスタムです。基本はイラストの様なプルバックハンドルに、極端に延びたフロントフォーク、というスタイルです。チョッパーの語源は、複数のバイクのフレームを切って(チョップ)つなぎ合わせたから、という説が有力です。

 チョッパーが生まれた過程に関しては幾つかの説がありますが、一説にはまず広いアメリカを旅するのに適したプルバックハンドルの流行があった、ということ。ところが極端なプルバックハンドルで殿様乗りになると、体や腕のチョットした挙動がハンドリングに影響をもたらすようになってしまいます(1997年頃までのヒンクレー・サンダーバードやアドベンチャラーのプルバックハンドルにはまさにその傾向がありました)。そこで、ノーマルよりもキャスター/トレール角を取ることにより、直進安定性を向上させたのが発端らしいです。しかしそこはアメリカ。『より極端な方がカッコ良くて偉い』という論理(笑)により現在の様な状態にすぐに進化(?)していった模様です。

 イラストの車体はノーマルフレームを改造したものらしくリアサスが付いていますが、『正統派』(?)のチョッパーではリジッドフレームの車体が好んで素材に使われます。イラストのマシンのベースになっているのは1965-1972ごろのボンネビルかと思われますが、これにTTパイプを装着しています。TTパイプはこれも西海岸で流行した、ダート・トラック(運動場の様なオーバルコースをひたすらグルグル廻る、というこれもアメリカらしいお馬鹿レース。最近に日本でも人気が出ていますね)用のエキパイです。エンジンの真下あたりで終わっているので、「マフラー(消音器)」とは言えないシロモノです。アメリカ大陸を旅するにはおよそ不向きなピーナッツタンクも定番のカスタム。

 僕自身は、チョッパーは食わず嫌いな部分もあったんですが、こう見ていると結構カッコいいな、と考えを改め始めた次第です。でも、僕が乗ると悪役にしか見えないので、街を走っていると正義の味方に駆逐されてしまうと思うので乗りませんが。

 アメリカ西海岸に行くと、今でもチョッパーカスタムは結構走っているのですが、大概は上のイラストくらいのちょうど運転しやすい感じに抑えられています。
 ところがなぜか日本のチョッパー愛好家たちは、より極端な方向に向かい「エイプハンガー」(猿がぶら下がる様になるから)や「スカイハイ」(その名の通り空に手を差し伸べる様な状態に...)などと呼ばれる激しくカチ上がったハンドルを装着し、「我が生涯に一片の悔い無し!」とばかりに天に向かって拳を突き上げた状態にまでカスタムする傾向が強いですね。あれはやはり、見た目の通り・かなり疲れるし、腰も辛いそうで...正直、尊敬します(嫌みでは無く、心底そう思います)。

 昨年の夏・北海道に行った際、網走のあたりで豪雨が振り出しました。
 そんな中・チョッパーでツーリングしている軍団を追い抜いたのですが...その皆さんの様子は激しく雨を叩きつけてくる、気まぐれな大自然に対して拳を振り上げて立ち向かうかのごとくであり、その勇敢な姿は・もはや神々しくさえ感じられました...。

←February 2003