バイク好きになるよりも早く戦史好きであった僕にとっては、BSAはバイクメーカーとしてよりも「バーミンガム小火器工廠(Birmingham Small Arms)」として脳裏に焼き付けられていました。(バイクブランドとしての)BSAの名前を知ったとき、「え?BSAってバイクも作ってたの?」と驚いたのは...どうやら一般とは順序が逆の様です。
BSAの歴史は非常に古く、17世紀末にまで遡ることができます。当時、イギリス軍の兵器の質が悪く、またそのほとんどをオランダからの輸入に頼っていることを憂えた英国王・ウィリアム三世が王室兵站局に命を下し、1692年にバーミンガムの5人の親方と契約を結んで専属の鉄砲鍛冶として働かせたことに端を発します。
それから150年間に渡ってこの契約は続きましたが、産業革命の時代を迎え、クリミア戦争(1853-1856)の際に、14人の鉄砲鍛冶がそれまでのギルド体制を変革し「バーミンガム小火器取引協会(Birmingham Small Arms Trade Association)」を興します。さらに1861年、この組織は「バーミンガム小火器会社(Birmingham Small Arms Company)」として発展し、1863年、バーミンガム近郊のスモールヒース(Small heath)」に工場が設立されました。
しかし1880年ごろには小火器市場が縮小に向かっていたため、この時代にBSAは新たな製品市場を模索します。その中で白羽の矢が立ったのが、自転車と三輪車(当時は軍事物資の輸送に良く使われていました)の生産でした。今も昔も、円筒素材の加工には高度な加工技術が要求されます。この分野では銃身製作などにより他の追随を許さない技術を持っていたBSAの作る自転車のフレームは、強度・質ともに最良のものであったため、市場の評判は非常に良く、BSAの名前を高めました。